山田写真館春秋

山口県美祢市美東町の歴史を四代に亘って見てきた写真館の店主による徒然草

本のおもひで 第1回『ロードス島戦記』

最近書くことが全くないので久しぶりに本の話でもしたいと思います。
と言っても管理人が昔読んだ本について思うことをつらつら書くだけなんですけどね。

第1回は『ロードス島戦記』(水野良著 角川スニーカー文庫)です。

 ライトノベルの草分け

今やライトノベルは小説の一大分野として文壇を席巻していますが、
かつて管理人が少年だったころはライトノベルという言い方は存在せず、
角川スニーカー文庫やソノラマ文庫、コバルト文庫などは多分少年漫画の小説版くらいの
扱いだったのではないかと思います。

『ロードス島戦記』がそんな少年少女向け文庫レーベルの角川スニーカー文庫から
出版されたのは1988年のことだそうです。
管理人が始めて読んだのが多分中学校一年生くらいの頃だと思うので初版にかなり近い時期です。

当時マイコンBASICマガジンを愛読していた管理人は
その雑誌の中で紹介されていた同作品に興味を持ち、ちょっと読んでみようと思ったわけです。
なぜ興味を持ったのかは分かりません。
ひょっとしたら一般的な漫画に飽いていたのかもしれません。
あるいはちょっと背伸びをしてみようと思ったのかもしれません。

とにかく小説という体で世に出ていたこの作品を管理人は自費で購入したわけです。
漫画ではない、字ばっかりの「小説」をわざわざ買うという行為が中学生にとっては
大人へのステップを踏み出した様な感覚だったことでしょう。

さてその内容は騎士見習いの少年が剣と魔法の世界を冒険し、
ついには世界の一大危機を救うという、王道中の王道になっております。

もしかしたら『ゲド戦記』風の教養小説的なものも目指されていたかもしれません。

当時この王道ファンタジー作品が角川スニーカー文庫の看板作品となり、
ファングッズも多く市販されていました。
間違いなくライトノベルというジャンル(当時まだそういう呼称はなかったにもかかわらず)
の発展に寄与した作品のひとつといえるのではないでしょうか。

 剣と魔法の世界

この作品の特徴は魔法が存在すること、
精霊や魔法的生物(ドラゴンとかバシリスクとかそういうの)が存在すること、
人間以外にも人間の亜種族としてエルフ、ドワーフ、ホビット(グラスランナー)が共存共栄しているということ、です。

この作品が少年の心を射抜くのはざっくりいえばこの世界観です。

現世とはちょっと違う原理で存在している世界。
あるいは違うやり方で説明されている世界。
そういうものが(想像の世界にしろ)存在しているということが
知的好奇心の旺盛な青少年の心をくすぐりまくったわけです。

剣と魔法という意味ではファミコンでドラゴンクエストが既に発売されていたわけですが、
あんな8ビットの世界では想像力を刺激するには少々物足りないわけです。
(そこいくとドラクエ2以降はすごい進化です・・・・・・)

しかし『ロードス島』では剣と魔法を駆使してキャラクターが縦横無尽に活躍して
ドラマを展開しているのです。
決して剣が万能ではなく、魔法も同様です。
英雄同士が戦い、傷つき、時には命も落とすのです。

ドラクエには魅力的なエルフのヒロインも出てきません。
(でも最近のドラクエにはエルフが出てきますよねぇ・・・・・・)

『ロードス島』にはそれがいますよ。
しかし過度なロマンスにはなりません。

ロマンスの神様どうもありがとう!
(冒険小説の主人公とヒロインがロマンスを余り加速させると
読者は鼻白んでしまうものです)

さて、この作品に出てくるエルフやドワーフなどといったものが
実はこの作品の専売特許ではなく、
ファンタジー小説界では結構共通認識として通用していることを知ります。

 その後の展開

その後の展開というか、そもそもこの作品の下敷きが実はゲームなのだということを知ります。

テーブルトークRPGというやつで、一定のルールで会話(とさいころ)をベースに行われる
ボードゲーム的なものがまずあって、それを元に作品世界を展開させたのが
この『ロードス島戦記』だとすぐに気付くことになります。
(気になる方はグループSNEで検索してみてください)

そしてそのまた下敷きになったゲームというのがあって・・・・・・
というのを追跡していくと概ね『指輪物語』(J.R.R.トールキン)に行き着きます。

管理人はそんな感じでまずは一連の『ロードス島戦記』作品群(小説・ゲームのリプレイ等)
を網羅し、次に向かったのは早川ファンタジー文庫のファンタジー小説。
(ハヤカワFTの話はまた今度することにします)
そして『指輪物語』という風に展開してきました。

そして最終的には中世フランス文学に行き着くのですが、
その話は多分しません。

 あとがき

少年少女は実に知識に飢えているもので、
特に学校では教えていない特殊な知識を収集するというのが
新たな世界のパズルのピースを手に入れている様で
とてもワクワクするものです。

その新たな世界のパズルのピースは
いつか自分の世界を形作り、
いわゆる個性というものを形成します。

管理人は『ロードス島戦記』から多くのピースを獲得しましたし、
それはどんどん拡大を続け、今も多分まだその欠片を探しています。

『ロードス島戦記』は少年少女向けであり、
これを古典小説と比べると、
例えばちょっと話の展開がせっかちだったり、
描写が簡素だったり、
登場人物の行動・思想が現代的だったりしすぎるかもしれません。

しかしこれは知的世界への窓口です。
ここから何を得るかは個々人により違うかもしれませんが
間違いなくなにか素敵な物の原石を発見することでしょう。

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