山田写真館春秋

山口県美祢市美東町の歴史を四代に亘って見てきた写真館の店主による徒然草

本のおもひで 第2回『魔法の国ザンス』

別にどうしても更新しなくちゃならないという義理はないのですが、
放置しているとなんとなく無責任な気もするのです。

さりとて書くこともないのでまたまた本の話でも書こうかと思います。

第2回目は『魔法の国ザンス』ざんす。

『魔法の国ザンス』は知る人ぞ知るファンタジーのシリーズで、
ハヤカワファンタジー文庫で現在21巻まで出ているようです。

管理人はこのうち10巻までを読破済みです。

作者はイギリス出身のピアズ・アンソニイという人で、
SFとファンタジーを専門としている作家さんで存命です。

はじめてのハヤカワ  


というか、『ロードス』の次に手を出したのがこの『魔法の国ザンス』で、
これまたマイコンBASICマガジン内で紹介されていた作品なのでした。

ハヤカワFTはファンタジーに特化したレーベルで、
黄色(と言うか肌色)の背表紙が特徴。
どれも分厚くて値が張るのでなかなか手が出しにくく、
これを買うのは中学生にはかなりの勇気が必要と思われます。

それを後に10巻も買い続けるとは思いもよらなかったことでしょう。

ちなみにハヤカワSFはブルーの背表紙で、
これも分厚くて値段が高い。

しかしこれを同色でずらり本棚に並べるのが
ファンタジーマニア、SFマニアのたしなみなのです。

ファンタジーとは  


前回の『ロードス』はファンタジーかと言えば、
10人のうち10人がそうだと答えるでしょう。

魔法があり、奇妙な動物がいる。
そもそも現代地球とは違う物理原理が働いている。

それだけでもうファンタジーです。

好き勝手な世界を構築すればそれはファンタジーかと言えば、
まあ概ねそれで合ってるといえるでしょう。

しかし、それでもファンタジーには共通の知識や概念があります。
魔法とか妖精とか悪魔とか精霊とかそういうのです。

こういうファンタジーの古典はロード・ダンセイニの作品だと言われていますが、
そもそもの起源はケルトの世界観だと言うことです。

そこにゲルマン人の神話やギリシア神話、北欧神話などが混ざって
大体オーソドックスなファンタジーの世界が構築されています。

そして『魔法の国ザンス』も大方そんな感じの世界観です。

ただ『ザンス』は『ロードス』に比べると
そこの住民はいささか原始的な生活をしています。
なぜならそこの住民は皆が魔法の力を持っていて
それに頼り切った生活をしているからです。

言葉遊び  

この作品は「魔法の国」を標榜している割には
どんな困難も魔法で解決!
という展開はあまりありません。

というのもこの作品の登場人物は各人ひとつの魔法しか使えないので、
それぞれが知恵を振り絞って困難に立ち向かわないといけません。

そしてどちらかと言うと魔法力勝負と言うより、
「相手を言い負かす」的な展開が多く見られます。

そこで自然と言葉遊びが多くなります。
(原作はもちろん英語なので、翻訳者さんは相当苦労されていることと思います)

それは後の巻になる程顕著で、
正直言うと中学生くらいでは理解するのがなかなか困難になってきます。

そう。

実はこの『ザンス』シリーズは読むのが結構大変なのです。
魔法の理屈を論理で押し通すところがあったり、
展開が遅かったり、そうかと思うと唐突に場面変換していたり。

決して不自然かつ強引と言うのではないのですが、
だいたいこのシリーズのお決まりとして
最後に大どんでん返しが待ち構えていて、
そのための準備がそこかしこに用意されているのがちょっと散漫な印象もあったり。

一冊が長いので、物語の始めの方の布石を最後まで記憶し続けることができるかと言えば
なかなか困難なところがあります。

分厚い本を読むヨロコビ  

こんな分厚くて、
しかもコテコテのファンタジーを俺は読むんだぞ
っていう喜び、というか優越感!!

入り口はそんなところでしょうか。
『ロードス島』は小説とは言え、挿絵があり、字も大きい。
しかしこの『ザンス』は当然普通の文庫並みに字は小さいし、
挿絵などあるはずも無い。
だから読むにはそこそこの読解力と想像力を要します。

自分にはそれに価する力がある。
それを試したいと思ってまずは読み始めてみたのが、
多分これを始めて買ったときの心境でしょう。

そしたら意外と『ロードス島』以上に読むのが困難だったと言うこともなく、
面白くも感じたわけで、
それで後続巻を読み続けたのだろうと思います。

たまーに
本を読むのに自ら高い敷居を設置してわざわざ乗り越えられないようにしている人を見かけます。
が、乗り越えてみればその敷居は意外と低いものです。

あ、ギターにも言えるわこれ。

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